Nightfall

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★ネタバレあり ★清水崇監督最新作『犬鳴村』の感想

【注意】このレポートはネタバレ全開なので、「まだ観てないよ!」って方はブラウザバック推奨です。

清水崇監督『犬鳴村』の概要

「犬鳴村」とは、福岡県に実在する心霊スポット「犬鳴トンネル」を抜けた先にあると言われている都市伝説的な村落である。村の入り口には「この先、日本国憲法通用せず」と立札が置かれていると言われている。清水崇監督『犬鳴村』は、この「犬鳴村伝説」や「犬鳴トンネル」を題材としたホラー映画である。2020年2月7日公開された。

清水崇監督『犬鳴村』の感想

2020年2月23日時点で、映画評価サイト犬鳴村 : 作品情報 - 映画.comで5点中2.6点だったので、『犬鳴村』正直めちゃくちゃ不安でしたが、杞憂に終わりました。『犬鳴村』は民俗学っぽく、ヌメヌメした感じのホラー映画で個人的には面白かったです。タイムリープ(時間超越的展開)や、犬女(狼女?)化なども特に気にならなかったですし。ただ、正直、主人公である森田奏(三吉彩花)が犬鳴村に殴り込みに行くまでが長く感じました。もう少し、犬鳴村を散策するシーンを多くしても良かったんじゃないかな…とも思いました。

僕も物語の内容を完全に理解した訳ではなく、いくつか疑問に思う所もありました。①本当に籠井摩耶(宮野陽名)は犬と交わったのか?②ラスト、主人公である森田奏はなぜ犬化したのか?③遼太郎(笹本旭)のオチの意味。僕はこの3つが特に疑問に思いました。

やっぱり①はストーリー的に摩耶は犬と交わったんだと思います。でもそこでふと疑問が浮かびました。犬と交わって、摩耶の娘である耶英(水木薫)に霊能力とか目覚めるものなのでしょうか?いくつか理由を考えてみました。犬が何か特別な存在だった可能性です。これはそんな描写はないため、ただのワンコだと思います。次に摩耶には元々、霊能力があったのではないか?同じくそんな描写は無かった気がしますが、可能性は否定できません。おそらく可能性として高いのは異種族(人間と犬)間の交わりにより誕生した存在である耶英だからこそ、霊能力(+犬化能力?=姿形は人間でも実質、半人半獣ということ?)が備わったのではないでしょうか。民俗学では言う「異類婚姻譚(または異類求婚譚)」に近いのかもしれません。つまり、綾乃(高島礼子)や悠真(坂東龍太)や康太(海津陽)も覚醒していないだけで霊能力があるんだと思います。綾乃はもしかすると、夫の晃(高嶋政伸)に嫌われないようにするために霊能力を隠していたのかもしれませんが…。色々考えてみたものの、結局、ホラー映画の細かい事はツッコんではいけない気がしてきました笑。②と③は正直、分かりません。でも②は、遼太郎の「ママがもう一人のお友達にもよろしくね」(確かこんな感じ)的な発言から、摩耶が奏に取り憑いたのかなと思ったりもしました。他に奏の母である綾乃も犬化していた描写があるので、血筋による犬化も考えられますが…。③も遼太郎と、遼太郎の本当の母親も犬鳴村(摩耶以外)の血筋が入っていたというオチだったのでしょうか?遼太郎と奏は霊能力がある。つまり犬鳴村の血筋には霊能力の素質がある?? ……うん分からん笑
考察サイト巡りでもしよう。

あとTwitterで話題になっていたエンドロールで、コンクリートの隙間に女の顔?が映り込んでいると聞いて、ガン見していたのですが、ちょっとよく分からなかったです笑。地上波で放送されたらまた観てみようと思います。『犬鳴村』個人的には面白かったので、別の都市伝説もぜひ映画化してもらいたいです。

参考文献

◆朝里樹(2018)『日本現代怪異事典』笠間書院、49〜50頁

民俗学研究所[編著]、柳田国男[監修](1976=1951)『民俗学辞典』東京堂出版、44〜45頁

映画『犬鳴村』公式サイト

ゲーム都市伝説「ツナカユリコ」

ツナカユリコ

主人公の名前を入力するタイプのゲームにおいて、「ツナカユリコ」と名前を入力すると(ゲーム内から女性の声がする・視線を感じる・原因不明の高熱などの)怪奇現象やバグが発生すると言われている都市伝説のことである。
朝里樹(2018)氏によれば、2009年には既にインターネット上では「ツナカユリコ」は流布していたという。名前から推察すると女性の可能性が高いものの、ツナカユリコが実在したかどうかや、都市伝説の真偽、原点となる情報源、解決策など一切不明である。

参考文献
◆朝里樹(2018)『日本現代怪異事典』笠間書院、244頁
ゲームにまつわる怖い話『ツナカユリコ』の都市伝説を追ってみた - シバ山ブログ
【閲覧注意】主人公名をツナカユリコにしまくったらどんな目に遭うのか?【ゲーム都市伝説】 : もゲつぶ。【元ゲーム情報サイト編集者のつぶやき。】

【神林家の伝承】こおどり様(オオカメ宮)に関するレポート

こおどり様 (オオカメ宮)

こおどり様は、渡辺裕二氏の論文「神林家の伝承 オオカミを祀るお宮」[2001]に登場する、上桑原の神林家で祭祀されている狼の御霊(ごりょう)である。なお「こおどり様」は、「オオカメ宮(みや)」とも呼ばれる場合があり、旧暦の1月26日にはお祭りをするという。

(注)渡辺氏の取材時期は1999年8月17日。
(注)御霊信仰とは、怨霊を祀ることで御霊として神格化させ、祟りを鎮め、人々に恩恵をもたらしてもらうという考えの信仰のこと。

神林家の伝承の要約

神林家の先祖、弥十郎は狼を飼っていたという。ある日、狼と共に鵜の巣にある川へ、うなぎ捕りに出掛けた。川で待機していたところ、狼の異変を察知(虫のしらせ?)した弥十郎は、(弥十郎自身の)身代わりを作り、寝かせ、近くの草木(または木の上)に身を隠した。突如、狼は身代わりに牙を突き立てたのだという。弥十郎は身の危険を感じ、狼を撃ち殺した。その後、因果関係は不明だが、上桑原で流行り病が蔓延し、「狼の祟り」ではないかと噂になった。祟りを鎮めるために狼を祀ったのだという。
なぜ、狼が弥十郎(身代わり)に襲い掛かったのかは不明だが、友を撃ち殺した弥十郎の気持ちを考えるとやるせない。
渡辺論文[2001:55頁]より引用
参考文献
★渡辺裕二(2001)「神林家の伝承 オオカミを祀るお宮」『民話と文学』32号、民話と文学の会、pp54~58